今年度の保育テーマ「ワクワク!をチカラに、しなやかに」には、子どもたち一人ひとりが自分らしさを発揮しながら、失敗や困難に出会っても前向きに挑戦し続ける力を育んでほしいという、私たちの願いが込められています。
ここでいう「しなやか」とは、心理学で使われる「しなやかマインドセット(成長マインドセット)」の考え方に通じる意味合いを含みつつ、それにとどまらず、「しなやか」という言葉から想像される、生きていく中で出会う嫌なことや思い通りにならないこと、予期せぬ問題を、自分なりに受け止め、しなやかにいなして前を向ける心のしなやかさをイメージしています。
つまり、ただ強くなるだけではなく、時には自分の気持ちを整えたり、他者に助けを求めたり、立ち止まりながらもまた一歩進んでいけるような力を「しなやか」という言葉に込めています。

マインドセットとは「心のあり方」や「心構え」のことです。
マインドセットには、
「🌱しなやかマインドセット」
と
「🪨硬直マインドセット」
の2種類があます。
🌱 しなやかマインドセット「成長(Growth:グロース)マインドセット」とは
しなやかマインドセットとは、心理学者キャロル・S・ドゥエックが提唱した概念で、「人の能力や可能性は生まれつき決まっているものではなく、努力や経験によって伸ばすことができる」という考え方を指します。
この考え方を持つ人は、
- 失敗や困難に出会ったときに「これは自分が成長するためのチャンスだ!」と前向きに捉える。
- 小さなことでも「次はどうしたらできるかな?」と自分を振り返り、改善し、挑戦を続ける。
- 他の人の意見やアドバイスも「自分をより良くするヒント」として素直に受け入れる。
- 「できなかった=自分がダメ」というネガティブな自己否定ではなく、「できるようになりたい!」という前向きな気持ちで、自分にできる工夫を考え、挑戦し続ける。
特に子どもたちが「好きなこと」や「得意なこと」に夢中になり、「できた!」という小さな成功体験を積み重ねることで、「自分はできる!」という自信(自己肯定感)が育まれ、しなやかマインセットを育むきっかけになります。
🪨硬直マインドセット「固定(Fix:フィックス)マインドセット」とは
一方で、硬直マインドセットも心理学で使われる言葉で、「人の能力は生まれつき決まっていて、努力しても変わらない」という考え方を指します。
この考え方を持つと、
- 失敗を「やっぱり自分には無理だ」「才能がない証拠だ」と決めつけてしまい、挑戦を避けるようになります。
- 他人から褒められたり認められたりする「承認」を強く求め、承認が得られないと「やっぱり自分はダメだ」と自己否定しやすくなります。
- 失敗や困難が起きたとき、他人や環境のせいにしてしまい、自分を振り返る機会を失います。
- また、自分の考えに固執しやすく、他人の意見やアドバイスを「否定された」と感じ、素直に受け入れにくくなる傾向があります。
このような考え方では、「失敗を避けること」や「承認されること」ばかりに意識が向き、挑戦する力や成長する力が育ちにくくなってしまいます。
🌟 私たちが育てたい「しなやかさ」とは
私たちは、子どもたちが「ワクワク!」する「好きなこと」や「得意なこと」に夢中になり、挑戦する中で失敗を経験しても、「どうしたらできるかな?」と考え、諦めずに挑戦し続ける力、他の人の意見や考えにも耳を傾け、助け合いながら進んでいく力、そして、嫌なことや思い通りにならないことも含めて「それもあるよね」と受け止め、しなやかにいなして前を向いて生きていく力を育んでいきたいと考えています。
失敗しても、うまくいかなくても、挑戦し続ける姿勢こそが子どもたちの成長の原動力です。
そして、その成長を支えるのが「ワクワク!」という「好きなこと」「得意なこと」に夢中になれる時間です。

◆ まとめ
| 項目 | しなやかマインドセット | 硬直マインドセット |
|---|---|---|
| 考え方 | 能力は努力で伸ばせる | 能力は生まれつき決まっている |
| 失敗の捉え方 | 成長のチャンスと捉える | 才能がない証拠だと思う |
| 小さな課題への向き合い方 | 「どうしたらできる?」と考え、挑戦し続ける | 失敗を避け、諦めやすい |
| 他人の意見 | 学びのヒントとして素直に受け入れる | 否定されたと感じやすく、受け入れにくい |
| 承認のとらえ方 | 成長の励みとして前向きに活用する | 承認されないと自己否定に陥りやすい |
| 結果 | 挑戦力・協力力・自己肯定感が育つ | 挑戦を避け、成長機会を逃す |
このテーマのもと、子どもたちの「ワクワク!」を大切にしながら、しなやかマインドセットに通じる「しなやかさ」を育む保育を実践していきたいと考えています。
参 考
